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故事・小話 「借虎威」 現代語訳

2月 13, 2014 by kanbunjuku // コメントは受け付けていません。


訳:蓬田(よもぎた)修一

<漢文>

借虎威

虎求百獣而食之。
得狐。
狐曰、
「子無敢食我也。
天帝使我長百獣。
今、子食我、是逆天帝命也。
子以我為不信、吾為子先行。
子随我後観。
百獣之見我、而敢不走乎。」

虎以為然。
故遂与之行。
獣見之皆走。
虎不知獣畏己而走也。
以為畏狐也。
(戦国策)

<書き下し>

虎の威を借る

虎百獣を求めて之(これ)を食らふ。
狐(きつね)を得たり。
狐曰(い)はく、
「子(し)敢(あ)へて我を食(らふこと)無かれ。
天帝我をして百獣に長たらしむ。
今、子我を食らわば、是(こ)れ天帝の命に逆らふなり。
子我を以(もつ)て信ならずと為さば、吾(われ)子の為(ため)に先行せん。
子我が後に随(したがひて)観(み)よ。
百獣の我を見て、敢へて走らざらんや。」と。

虎以て然(しか)りと為す。
故に遂(つひ)に之(これ)と行く。
獣之を見て皆走る。
虎獣の己を畏(おそ)れて走るを知らず。
以て狐を畏ると為す。

<現代語訳>

虎の威光を借りる

虎はどんな獣でも求めて食べていた。
(ある時)狐をつかまえたが、その狐がこう言った。

「あなたは私を食べてはいけません。
天の神は、私を百獣の王とされたのです。
今、私を食べたのなら、あなたは天の神様に逆らうことになります。
私の言うことが嘘だと思うのならば、私はあなたの先に立って歩いていきましょう。
(あなたは)後ろからついてきて、私のことを見ていなさい。
百獣の王である私の姿を見た他の動物たちは、どうして逃げないことがありましょうか。(いや、逃げるはずです。)」と。

虎はなるほどその通りだと思った。
そこで狐についていくことにした。
他の動物たちはこの様子(狐の後ろに虎がついて歩いている様子)を見て、皆走って逃げていった。
虎は動物たちが自分のことを恐れて逃げていったことに気づかず、狐を恐れているのだと思った。


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