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漢詩 「長恨歌」 白居易 現代語訳

3月 4, 2014 by kanbunjuku // コメントは受け付けていません。


訳:蓬田(よもぎた)修一

長い詩なので、前半と後半に分けて「漢文」「書き下し」「現代語訳」を掲載しています。
また、読みやすさを優先させて、詩全体を8行づつ区切っています。

長恨歌の「恨」は、「ひどい仕打ちを受けたので仕返しをしてやろう」という意味ではなく、「残念に思う」という意味です。

「思いを伝えきれない恨みがある」や「痛恨の念」(=取り返しが付かないこととして、非常に残念に思う気持ち)というときの「恨」です。

<漢文>

長恨歌 白居易

漢皇重色思傾国
御宇多年求不得
楊家有女初長成 
養在深閨人未識
天生麗質難自棄 
一朝選在君王側
迴眸一笑百媚生 
六宮粉黛無顔色

春寒賜浴華清池
温泉水滑洗凝脂
侍児扶起嬌無力
始是新承恩沢時
雲鬢花顔金歩揺
芙蓉帳暖度春宵
春宵苦短日高起
従此君王不早朝

承歓侍宴無閑暇
春従春遊夜専夜
後宮佳麗三千人
三千寵愛在一身
金屋粧成嬌侍夜
玉楼宴罷酔和春
姉妹弟兄皆列土
可憐光彩生門戸

遂令天下父母心
不重生男重生女
驪宮高処入青雲
仙楽風飄処処聞
緩歌慢舞凝糸竹
尽日君王看不足
漁陽鞞鼓動地来
驚破霓裳羽衣曲

九重城闕煙塵生
千乗万騎西南行
翠華揺揺行復止
西出都門百余里
六軍不発無奈何
宛転蛾眉馬前死
花鈿委地無人収
翠翹金雀玉搔頭

君王掩面救不得
迴看血涙相和流
黄埃散漫風蕭索
雲桟縈紆登剣閣
峨眉山下少人行
旌旗無光日色薄
蜀江水碧蜀山青
聖主朝朝暮暮情

行宮見月傷心色
夜雨聞鈴腸断声
天旋日転迴竜馭
到此躊躇不能去
馬嵬坡下泥土中
不見玉顔空死処
君臣相顧尽霑衣
東望都門信馬帰

<書き下し>

長恨歌(ちやうごんか) 白居易

漢皇(かんのう)色を重んじて 傾国を思ふ
御宇(ぎよう)多年 求むれども得ず
楊家(やうか)に女(むすめ)有り 初めて長成し 
養はれて深閨(しんけい)に在り 人未(いま)だ識(し)らず
天生の麗質 自(おのづか)ら棄(す)て難く 
一朝選ばれて 君王の側(かたはら)に在り
眸(ひとみ)を迴(めぐ)らして一笑すれば 百媚(ひやくび)生じ 
六宮(りくきゆう)の粉黛(ふんたい) 顔色無し

春寒くして浴を賜(たま)ふ 華清の池
温泉水滑(なめ)らかにして 凝脂を洗ふ
侍児扶(たす)け起こすに 嬌(けう)として力無し
始めて是(こ)れ新たに 恩沢を承(う)くるの時
雲鬢(うんびん)花顔 金歩揺(きんほえう)
芙蓉(ふよう)の帳(とばり)暖かにして 春宵を度(わた)る
春宵短きに苦しみ 日高くして起く
此(こ)れ従(よ)り君王 早朝せず

歓を承(う)け宴に侍して 閑暇無く
春は春の遊びに従ひ 夜は夜を専らにす
後宮の佳麗 三千人
三千の寵愛(ちようあい) 一身に在り
金屋粧(よそほ)ひ成りて 嬌として夜に侍し
玉楼宴罷(や)んで 酔(ゑ)ひて春に和す
姉妹弟兄 皆土を列(つら)ぬ
憐(あは)れむ可し 光彩の門戸に生ずるを

遂(つひ)に天下の父母の心をして
男を生むを重んぜず 女を生むを重んぜ令(し)む
驪宮(りきゆう)高き処(ところ) 青雲に入り
仙楽風に飄(ひるが)へりて 処処に聞こゆ
緩歌慢舞 糸竹を凝らそ
尽日君王 看(み)れども足らず
漁陽の鞞鼓(へいこ) 地を動かして来たり
驚破す霓裳(げいしやう) 羽衣(うい)の曲

九重(きうちよう)の城闕(じやうけつ) 煙塵(えんぢん)生じ
千乗万騎 西南に行く
翠華(すいくわ)揺揺(やうやう)として 行きて復(ま)た止まる
西のかた都門を出ずること 百余里
六軍(りくぐん)発せず 奈何(いかん)ともする無く
宛転(ゑんてん)たる蛾眉(がび) 馬前に死す
花鈿(くわでん)地に委して 人の収むる無し
翠翹(すいげう)金雀(きんじやく) 玉搔頭(ぎよくそうとう)

君王面を掩(おほ)ひて 救ひ得ず
迴(かえ)り看て血涙 相(あひ)和して流る
黄埃(くわうあい)散漫(さんまん) 風(かぜ)蕭索(せうさく)
雲桟縈紆(えいう) 剣閣(けんかく)に登る
峨眉山下 人の行くこと少(まれ)に
旌旗(せいき)光無く 日色薄し
蜀江(しよくかう)は水碧(みどり)にして 蜀山は青く
聖主朝朝 暮暮の情

行宮(あんぐう)に月を見れば 心を傷ましむるの色
夜雨に鈴を聞けば 腸(はらわた)断つの声
天旋(めぐ)り日転じて 竜馭(りゆうぎよ)を迴(めぐ)らし
此(ここ)に到りて躊躇(ちうちよ)して 去る能(あた)はず
馬嵬(ばくあい)の坡下(はか) 泥土(でいど)の中(うち)
玉顔を見ず 空(むな)しく死せし処(ところ)
君臣相顧みて 尽(ことごと)く衣を霑(うるほ)し
東のかた都門を望み 馬に信(まか)せて帰る

<現代語訳>

長恨歌 白居易

漢の皇帝は女色を重視し絶世の美女を望んでいた
天下統治の間の長年にわたり求めていたが得られなかった
楊家にようやく一人前になる娘がいた 
深窓の令嬢として育てられ、誰にも知られていない
生まれつきの美しさは埋もれることはなく
ある日選ばれて、王のそばに上がった
視線をめぐらせて微笑めば、そのあでやかさは限りない
宮中の奥御殿にいる女官たちは色あせて見えた

(彼女は)春まだ寒い頃、華清池の温泉を賜った
温泉の水は滑らかで、きめ細かな白い肌を洗う
侍女が助け起こすと、なまめかしく力がない
こうして初めて皇帝の寵愛を受けたのである
雲のように柔らかな髪、花のような顔、歩くと揺れる黄金や珠玉で作られたかんざし
芙蓉の花を縫い込めた寝台の帳は暖かく、春の宵を過ごす
春の宵は短いことに悩み、日が高くなってから起き上がる
このときから王は早朝の政務をやめてしまった

(彼女は)皇帝の心にかない、宴では傍らにはべり暇がない
春には春の遊びに従い、夜は夜で皇帝のお側を独り占めする
後宮には三千人の美女がいるが
三千人分の寵愛を一身に受けている
黄金の御殿で化粧をすまし、なまめかしく夜をともにする
玉楼での宴がやむと、春のような気分に酔う
妃の姉妹兄弟はみな諸侯となり
うらやましくも、一門は美しく輝く

ついには天下の親たちの心も
男児より女児の誕生を喜ぶようになった
驪山の華清宮は、雲に隠れるほど高く
この世のものとも思えぬ美しい音楽が、風に飄(ひるがえ)りあちこちから聞こえる
のどやかな調べ、緩やかな舞姿 楽器の音色も美しく
皇帝は終日見ても飽きることがないそのときに
漁陽の進軍太鼓が地を揺るがして迫り
霓裳羽衣の曲で楽しむ日々を驚かす

宮殿の門には煙と粉塵が立ち上り
兵車や兵馬の大軍は西南を目指す
カワセミの羽を飾った皇帝の御旗は、ゆらゆらと進んでは止まる
都の門を出て西に百余里
軍隊は進まず、どうにもできない
美しい眉の美女は、馬の前で命を失った
螺鈿細工のかんざしは地面に落ちたままで、拾い上げる人はいない
カワセミの羽の髪飾りも、孔雀の形をした黄金のかんざしも、地に落ちたまま

君王は顔を覆うばかりで、救けることもできない
振り返っては、血の涙を流した
土ぼこりが舞い、風は物寂しく吹きつける
雲がかかるほどの高い架け橋は、うねうねと曲がりくねり、剣閣山を登っていく
峨眉山のふもとは、道行く人も少ない
皇帝の所在を示す旌旗は輝きを失い、日の光も弱々しい
蜀江の水は深い緑色で満ち、蜀の山は青々と茂るも
皇帝は朝も日暮れも(彼女を)思い続ける

仮の宮殿で月を見れば心が痛み
雨の夜に鈴の音を聞けば断腸の思い
天下の情勢が大きく変わり、皇帝の御車は都へと向かう
ここに到って、心を痛め去ることができない
馬嵬の土手の下、泥の中に
玉のような美しい顔を見ることはない (そこは彼女が)空しく死んだところ
君臣互いに見合い、旅の衣を涙で湿らす
東に都の門を望みながら、馬に任せて帰っていく


<漢文>

帰来池苑皆依旧
太液芙蓉未央柳
芙蓉如面柳如眉
対此如何不涙垂
春風桃李花開夜
秋雨梧桐葉落時
西宮南苑多秋草
宮葉満階紅不掃

梨園弟子白髪新
椒房阿監青娥老
夕殿蛍飛思悄然
孤灯挑尽未成眠
遅遅鐘鼓初長夜
耿耿星河欲曙天
鴛鴦瓦冷霜華重
翡翠衾寒誰与共

悠悠生死別経年
魂魄不曾来入夢
臨邛道士鴻都客
能以精誠致魂魄
為感君王展転思
遂教方士殷勤覓
排空馭気奔如電
昇天入地求之遍

上窮碧落下黄泉
両処茫茫皆不見
忽聞海上有仙山
山在虚無縹緲間
楼閣玲瓏五雲起
其中綽約多仙子
中有一人字太真
雪膚花貌参差是

金闕西廂叩玉扃
転教小玉報双成
聞道漢家天子使
九華帳裏夢魂驚
攬衣推枕起徘徊
珠箔銀屛邐迤開
雲鬢半偏新睡覚
花冠不整下堂来

風吹仙袂飄颻挙
猶似霓裳羽衣舞
玉容寂寞涙闌干
梨花一枝春帯雨
含情凝睇謝君王
一別音容両渺茫
昭陽殿裏恩愛絶
蓬萊宮中日月長

迴頭下望人寰処
不見長安見塵霧
唯将旧物表深情
鈿合金釵寄将去
釵留一股合一扇
釵擘黄金合分鈿
但令心似金鈿堅
天上人間会相見

臨別殷勤重寄詞
詞中有誓両心知
七月七日長生殿
夜半無人私語時
在天願作比翼鳥
在地願為連理枝
天長地久有時尽
此恨綿綿無絶期
(白氏文集)

<書き下し>

帰り来たれば 池苑(ちゑん)皆(みな)旧に依(よ)る
太液の芙蓉 未央(びあう)の柳
芙蓉は面の如く 柳は眉の如し
此に対して 如何(いかん)ぞ涙の垂(た)れざらん
春風桃李(たうり) 花開く夜
秋雨梧桐(ごどう) 葉落つる時
西宮南苑(なんゑん) 秋草多く
宮葉階に満ちて 紅掃(はら)はず

梨園(りゑん)の弟子 白髪新たに
椒房(せいばう)の阿監(あかん) 青娥(せいが)老いたり
夕殿蛍飛んで 思ひ悄然(せうぜん)
孤灯挑(かか)げ尽(つ)くすも 未だ眠りを成さず
遅遅たる鐘鼓 初めて長き夜
耿耿(かうかう)たる星河 曙(あ)けんと欲するの天
鴛鴦(ゑんあう)の瓦冷ややかにして 霜華重く
翡翠(ひすい)の衾(ふすま)寒くして 誰(たれ)と与共(とも)にせん

悠悠(いういう)たる生死 別れて年を経たり
魂魄(こんぱく)曾(かつ)て来たりて 夢にも入らず
臨邛(りんきよう)の道士 鴻都(こうと)の客
能(よ)く精誠を以て 魂魄を致す
君王展転の思ひに感ずるが為(ため)に
遂(つひ)に方士をして 殷勤(いんぎん)に覓(もと)めしむ
空を排し気を馭(ぎよ)して 奔(はし)ること電(いなづま)の如く
天に昇り地に入り 之を求むること遍(あまね)し

上は碧落(へきらく)を窮め 下は黄泉
両処茫茫(ばうばう)として 皆見へず
忽(たちま)ち聞く 海上に仙山有りと
山は虚無縹緲(へうべう)の間に在り
楼閣玲瓏(れいろう)として 五雲起こり
其の中(うち)綽約(しやくやく)として 仙子多し
中に一人有り 字(あざな)は太真
雪膚花貌(くわばう) 参差(しんし)として是(これ)なり

金闕(きんけつ)の西廂(せいしやう)に 玉扃(ぎよくけい)を叩(たた)き
転じて小玉をして 双成に報ぜしむ
聞道(き)くならく漢家天子の使ひなりと
九華の帳裏 夢魂驚く
衣を攬(と)り枕を推して 起ちて徘徊(はいくあい)す
珠箔(しゆはく)銀屛(ぎんぺい)邐迤(りい)として開く
雲鬢(うんびん)半ば偏りて 新たに睡(ねむ)りより覚め
花冠整へず 堂を下り来たる

風は仙袂(せんべい)を吹ひて 飄颻(へいえう)として挙がり
猶(な)ほ霓裳羽衣の舞に似たり
玉容寂寞(せきばく) 涙闌干(らんかん)
梨花(りくわ)一枝 春雨を帯ぶ
情を含み睇(ひとみ)を凝(こ)らして 君王に謝す
一別音容 両(ふた)つながら渺茫(べうばう)たり
昭陽殿裏 恩愛絶え
蓬萊(ほうらい)宮中 日月長し

頭(かうべ)を迴(めぐ)らして 下人寰(じんくわん)の処(ところ)を望めば
長安を見ずして 塵霧(ぢんむ)を見る
唯(た)だ旧物を将(もつ)て 深情を表さんと
鈿合(でんがふ)金釵(きんさい) 寄せ将(も)ち去らしむ
釵は一股(いつこ)を留め 合は一扇
釵は黄金を擘(さ)き 合は鈿を分かつ
但(た)だ心をして金鈿の堅きに似せしめば
天上人間(じんかん) 会(かなら)ず相見(まみ)えんと

別れに臨んで殷勤に 重ねて詞(ことば)を寄す
詞中に誓ひ有り 両心のみ知る
七月七日 長生殿
夜半人無く 私語の時
天に在りては願はくは比翼の鳥と作(な)り
天に在りては願はくは連理の枝と為(な)らんと
天は長く地は久しきも時有りて尽くとも
此(こ)の恨み綿綿として 絶ゆるの期無からん
(白氏文集)

<現代語訳>

帰って来ると、池も庭も皆もとのまま
太液池の芙蓉、未央宮の柳
芙蓉は(彼女の)顔のよう、柳は眉のよう
これを見て、どうして涙をながさずにおられようか
春の風に桃や李の花が開く夜
秋の雨に梧桐(あおぎり)の葉が落ちる時
西の宮殿や南の庭園には、秋草が茂り
落葉が階を赤く染めても掃く人はいない

梨園(玄宗が養成した歌舞団)の弟子たちも、白髪が目立ち
椒房(皇后の居室)の阿監(宮女を取り締まる女官)も、その美しい容貌は老いてしまった
夕方の宮殿に蛍が飛んで、物思いは憂い悲しく
ひとつの明かりをともし尽くしてもまだ眠れない
時を告げる鐘と太鼓を聞くにつけ、夜の過ぎるのが初めて長く感じられる
天の川の輝きはかすかとなり、空が明けようとしている
鴛鴦の瓦(オシドリの形をした瓦)は冷ややかで、霜が重なり
翡翠の衾(カワセミの雌雄を織り出した寝具)は寒々しく、いっしょに寝る人はいない

(楊貴妃と)生死を分かって幾年月
(楊貴妃の)魂は夢にも出て来ない
(このとき)臨邛の道士が長安を訪れていた
真心を込めた念力で、魂を招き寄せられるという
眠れなく何度も寝返りを打つほどの君王の思慕の情を思い
方士に(楊貴妃を)懇ろに探し求めさせた
大空を押し分け、大気に乗り、雷のごとく走りめぐる
天に昇り、地に入って、くまなく探し求める

上は青空を極め、下は地の底まで探したが
どちらも広々としているだけで、姿は見あたらない
にわかに聞いたところによると、海上に仙山というがあるという
その山は何物も存在しない遠くかすかなあたりにあった
楼閣は透き通るように美しく、五色の雲が湧き上がっている
その中に若く美しい仙女がたくさんいた
そのうちのひとりに、太真という字の女性がいた
雪のような膚、花のような容貌、その様子は楊貴妃にほとんどそっくりである

黄金造りの御殿の西側の建物を訪れ、玉で飾られた扉を叩き
小玉に頼んで(楊貴妃の腰元である)双成に(自分が来たことを)伝えてもらう
聞けば、漢の天子の使いであるという
華麗な刺繍の帳の中で、夢を見ている(楊貴妃の)魂は驚き目覚める
衣装をまとい、枕を推しやって、起き出してさまよい歩く
真珠の簾や銀の屏風が、次々と開かれていく
雲のような鬢の毛はなかば偏って、目覚めたばかりの様子
花の冠も整えないまま、堂を降りて来た

風が吹き、仙女の袂はひろひらと舞い上がる
まるで霓裳羽衣の舞のよう
玉のような容貌はさびしげで、涙がはらはらとこぼれる
一枝の梨の花が春の雨に打たれるよう
想いを込めてじっと見つめ、君王に謝辞を述べる
お別れ以来、(玄宗皇帝の)声も姿もともにはるかに遠ざかり
昭陽殿での寵愛も絶え
蓬萊宮の中で過ごした月日が長くなった

頭をめぐらせ、はるか人間界を望めば
長安は見えず、塵や霧が広がっている
思い出の品で、ただ深い情を示したいと
螺鈿細工の小箱と黄金のかんざしを、(方士に)預け持って行かせる
かんざしの片方の脚と、小箱の(蓋か本体の)一方を残す
かんざしは黄金を裂き、小箱は螺鈿を分かつ
金や螺鈿のように心を堅くさせれば
天上と人間界に別れたふたりも、必ず会うことができるでしょう

別れにあたっては、丁寧に重ねて言葉を送る
言葉の中にふたり(皇帝と楊貴妃)だけに分かる言葉があった
七月七日、長生殿
誰もいない夜中、親しく語った時(の言葉である)
天にあっては、願わくは比翼の鳥となり
地にあっては、願わくは連理の枝となりたい
天地はいつまでも変わらないが、いつかは尽きる時がある
(しかし)この悲しみは綿々と、いつまでも絶えることがないだろう
(白氏文集)





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