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十八史略 「晏子之御」 現代語訳

3月 26, 2014 by kanbunjuku // コメントは受け付けていません。

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訳:蓬田(よもぎた)修一

<漢文>

晏子出。
其御之妻、従門間窺、其夫擁大蓋、策駟馬、意気揚揚自得。

既而帰。
妻請去曰、
「晏子身相斉国、名顕諸侯。
観其志、嘗有以自下。
子為人僕御、自以為足。
妾是以求去也。」

御者乃自抑損。
晏子怪而問之。
以実対。
薦以為大夫。
(十八史略)

<書き下し>

晏子(あんし)出づ。
其の御の妻、門間(もんかん)従(よ)り窺(うかが)へば、其の夫(をつと)大蓋(たいがい)を擁し、駟馬(しば)に策(むちう)ち、意気揚揚として自得(じとく)す。

既(すで)にして帰る。
妻去らんことを請うて曰はく、
「晏子は身(み)斉国に相(しやう)として、名諸侯に顕(あら)はる。
其の志(こころざし)を観(み)るに、嘗(つね)に以て自(みづか)ら下(くだ)ること有り。
子(し)は人の僕御(ぼくぎよ)と為(な)つて、自(みづか)ら以て足れりと為す。
妾(せふ)是(ここ)に以て去らんことを求むるなり。」と。

御者乃ち自ら抑損(よくそん)す。
晏子怪しんで之(これ)を問ふ。
実(じつ)を以て対(こた)ふ。
薦(すす)めて以て大夫と為(な)す。

<現代語訳>

晏子が外出した。
その御者の妻が、門のすきまからのぞいて見ると、夫は車の大きな傘を(押し立てるように)さしかけ、四頭立ての馬にむちをあて、意気揚々として得意になっていた。

ほどなくして御者が家に帰った。
すると、妻は離縁を願い出ながらこう言った。
「(あなたの主人の)晏子様は、斉国の宰相として、その名は諸侯の間に知れ渡っています。
(ところが)そのこころがけを見ると、いつも自らへりくだっています。
それなのに、あなたは人の御者でありながら、自ら満足しています。
だから私は離縁したいのです。」

御者は(それから)態度を改め控え目にするようになった。
晏子が不思議に思って、その理由をたずねた。
御者はありのままに答えた。
(晏子は感心し)御者を家老に推薦した。



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