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日本漢文 「鷹山至性」  重野安繹

6月 24, 2014 by kanbunjuku // コメントは受け付けていません。

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訳:蓬田(よもぎた)修一

<現代語訳>

鷹山(ようざん)の至性(しせい)
重野安繹(しげの やすつぐ)

上杉治憲(はるのり)の号は鷹山である。
秋月種美(あきづきたねよし)の次男である。
九歳で上杉重定(しげさだ)の養子となった。
十七歳のとき家を継承し、米沢十五万石を相続した。
幼くして、いたって良い生まれつきの人となりを表していた。
よく重定に事(つか)へて、親の命に従うこと、十分に行き届いていた。
治憲は常にこう言っていた。
「親へ孝を尽くすことが、すべての行いの本である。」
その言葉通りのことを自分から率先して行い、親族や若者たちに(影響を)及ぼし、彼らは皆、親に孝を尽くすこと、兄に従順なることを教えた。
以前、九十歳以上の老歳者を集めて、尚歯会(しょうしかい=年長者を尊ぶ会)を挙行した。
治憲は父を重んじいただいてこの会に臨み、自分から父のもとへ食べ物を持ち運びすすめた。
(こうして)米沢藩の領民たちは、親に孝行しようという気持ちが盛んに湧き起こったのである。

<書き下し>

鷹山(やうざん)の至性(しせい)
重野安繹(しげの やすつぐ)

上杉治憲(はるのり)鷹山と号す。
秋月種美(あきづきたねよし)の次子なり。
九歳にして上杉重定(しげさだ)の養ふ所と為(な)る。
十七にして家を承け米沢十五万石を襲封(しうはう)す。
幼にして至性有り。
善く重定に事(つか)へ服養(ふくやう)備(つぶさ)に至れり。
常に謂ふ、
「孝は百行(ひやくかう)の本(もと)なり。」と。
躬行(きうかう)率先(そつせん)し、推(お)して以て親族子弟に及ぼし、皆誨(をし)ふるに孝悌を以てす。
嘗(かつ)て九十歳以上の老者を集めて、尚歯会(しやうしくわい)を挙ぐ。
治憲父を奉じて之に臨み、躬(みづか)ら父に饋薦せり。
治下(ヂカ)翕然(きつぜん)として孝に興(おこ)りき。

<漢文>

鷹山至性
重野安繹

上杉治憲号鷹山。
秋月種美次子也。
九歳為上杉重定所養。
十七承家襲封米沢十五万石。
幼有至性。
善事重定服養備至。
常謂、
「孝百行之本也。」
躬行率先、推以及親族子弟、皆誨以孝悌。
嘗集九十歳以上老者、挙尚歯会。
治憲奉父臨之、躬饋薦父。
治下翕然興于孝。



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